今回はかなり久しぶりにデュエル小説を書いてみました!
まだまだ自分はデュエル小説を書くのが苦手なので稚拙な内容ではありますが、上手くオリジナル召喚方法である「レゾナンス召喚」とオリジナルルール「ユーザーズアビリティ」を遊戯と海馬に使って貰えた気がします!
是非最後まで見て下さい!
ーあらすじー
『DSOD』の激闘から数年後。冥界から帰還した海馬瀬人は、以前のようにアテムの影を追うことはなく、KCと童実野町の未来のためにその精力を注いでいた。 ある時、海馬はデュエルモンスターズの更なる進化形として新しい召喚方法を提唱。
その大規模なデモンストレーションを行うにあたり、対戦相手として白羽の矢が立ったのは、やはりこの男――武藤遊戯だった。
本編
ゲームデザイナーとして独立し、新たなゲームの開発に勤しむ遊戯の元を、海馬の代理人としてモクバが訪れていた。
「新しい召喚方法のデモンストレーション?」
PCから目を離し、遊戯はモクバの方を向く。
「あぁ。デュエルモンスターズの更なる発展のために兄様が新召喚方法を応募していたのは知っているだろ?」「うん。大々的に宣伝していたからね。ボクも仕事が忙しくて詳しくは見れてなかったけど……」
「遊戯、大きなプロジェクトは一段落したんだろ? ならKCのため……いや、デュエルモンスターズの未来のために協力してくれないか。『決闘王』であるお前がデモンストレーションに参加するなら、その宣伝効果は絶大だぜ!」
モクバの熱っぽい瞳を見て、遊戯は柔らかく微笑む。 かつて、千年パズルの完成を目論み、無理矢理大会に参加させられた頃とは違う。今回はビジネスとして、そして何より、一人のゲームを愛する者として、海馬が遊戯を必要としているのだ。 ならば、断る理由などあろうはずがない。
「分かったよ、モクバ君。「ボクも新召喚方法は気になるし、そのデモンストレーションデュエル受けるよ。」
「へへ、そう言うと思ったぜ。カードは既に用意しているから早速見ておいてくれよな。」
「ありがとう。そう言えばデモンストレーションだし、何かこう言う風に組んだ方が良いって要望はあったりする?」
「いや、デモンストレーションと言っても新召喚方法を活用してくれるデッキなら自由に組んでくれて構わないからさ。兄様に勝っちゃってもいいんだぜ。尤も勝てればの話しだけど。」
ニシシ、とモクバが悪戯っぽく笑う。
「分かったよ、モクバ君。可能な限り新召喚方法をアピールできるようにデッキは組んでおくね。」
「おう。頼んだぜ、遊戯。それと今回デモンストレーションに参加してくれるって事で次のプロジェクトの宣伝や支援はKCが大々的にバックアップするぜ。」
「え?悪いよそんなの。デモンストレーションを受けるのはボクの意思だし、たった一回デュエルするだけならそんな大がかりな報酬はちょっと…」
「あのなぁ、遊戯。」
モクバは人差し指を立て、チッチッチと振ってみせた
「これはビジネスなんだぜ。ビジネスで一番ダメなのは報酬を曖昧にする事だ。お互いの信頼にも関わってくる。遊戯は仕事を引き受けた、だからKCはその報酬として遊戯の仕事を全力でサポートする。これは正統な報酬だぜ。」
「そ、そう言う事なら…」
相変わらずの海馬兄弟らしい強引さと身内贔屓を感じつつも、それがKCという巨大企業を回す流儀なのだろうと、遊戯は納得することにした。
「ともかく頼んだぜ。お前なら大丈夫だと思うけど、新召喚方法を披露する前に負けるなんて事はないようにしてくれよ。」
「はは、そこは安心してよ。」
デザイナー業に集中していたとはいえ、遊戯もまた数々の修羅場を潜り抜けた決闘者だ。おいそれと負けるつもりはないし、何より海馬が心血を注いだ新システムを、最高の形で輝かせたいというクリエイターとしての矜持もあった。 それを確信したモクバは、「行くぞ、磯野」と控えていたサングラスの男に声をかけ、部屋を出ようとする。 だが、ドアノブに手をかけたところで、モクバは何かに気づいたように振り返った。
「あっ、遊戯。そう言えばまだ渡し忘れた物が。」
「どうしたの?モクバ君。」
まだ何か手続き上の書類でもあっただろうか。 しかし、モクバが懐から取り出したのは、一枚のカードだった。
「余計な事かもしれないけど、以前千年パズルを掘り出した時にこれを見つけてさ。返そうと思っていたんだけどあの頃は兄様が千年パズルの事で色々ごたごたしていたから忘れちゃっていてさ。」
「!まさか神のカード!」
「いや、神のカードはアテムの魂と一緒に冥界に戻っちまったらしく、幾ら探しても見つからなかったんだ。」
モクバは少し寂しげに肩をすくめる。
「そうか…でも、例え神のカードが見つかったとしてもボクは使うつもりはなかったけど…」
神のカードは、アテムと共に眠るべき力だ。遊戯はそう心に決めていた。 だが、モクバが差し出したのは、それとは違う意味で「重い」カードだった。
「…その代わりと言っちゃなんだけど遊戯にとっても悪くはないカードを見つけたぜ。まあ、崩壊した葬祭殿から見つけたカードだから結構ボロくなっちまったけどスリーブに入れて使う分には問題ないはずだぜ。」
遊戯はおずおずとそのカードを受け取る。 指先から伝わる感触。テキストは砂で擦れて読みづらくなっているが、描かれたその姿を、遊戯が見間違えるはずもなかった。 「……! これは……!」 驚愕と懐かしさ、そして込み上げる熱い感情。遊戯は震える手で、その「相棒」を抱きしめるように胸に当てた。
一ヶ月後。 KCスタジアムで開催される「新召喚方法披露デモンストレーション」のVIP席には、懐かしい顔ぶれが揃っていた。
「へへっ、すげぇ人だなおい! さすが海馬の野郎が仕切るイベントだぜ」
身を乗り出して会場を見渡すのは、城之内克也だ。駆け出しとはいえプロデュエリストとして活動する彼の顔つきは、高校時代よりも精悍になっている。
「ちょっと城之内、身を乗り出しすぎよ。落ちても知らないわよ?」
「おう、分かってらぁ杏子! お前こそ、海外公演の合間に帰ってくるなんてタフだな」
呆れたように笑う真崎杏子もまた、プロのダンサーとして世界を飛び回る多忙な身だ。
今日はこの日のために、無理やりスケジュールを調整して帰国していた。
「当然でしょ。遊戯の大一番だもの」
「ま、俺たちは何があっても遊戯の応援団だからな」
そう言って笑う本田ヒロトは、作業着ではないものの、実家の工場を継ぐための勉強で引き締まった表情をしている。
「それにしても、こうして顔を合わせるのも久しぶりだね」
少し落ち着いた口調で話に入ってきたのは獏良了だ。
「本当。高校生の時は毎日一緒だったのに、今だとみんな忙しくてバラバラだもんね」
杏子の言葉に、少しの寂しさと、それぞれの道を歩んでいることへの誇らしさが混じる。
「だが、例え離れていたとしても俺達の絆は変わらねぇ。そうだろ?」
城之内の真っ直ぐな言葉。 そこに、少し遅れてやってきた御伽龍児が加わった。
「その通りさ。僕もDDMの開発で忙しいけど、遊戯(ライバル)の晴れ舞台を見逃すわけにはいかないからね」
「御伽くん!」
会場の照明が落ち、開始のブザーが鳴り響く。
「おう! だからこそ今こうやって、遊戯の応援に来てるんだからな!」
「うん! たとえ別々の場所にいても、私達が作り上げたピースの輪は決してバラバラになったりはしない!」 杏子が自然と手を差し出す。それに習い、城之内、本田、獏良、御伽も手を重ね合わせる。
手の甲に描かれたスマイルマークはもう消えてしまったけれど、彼らの心には、永遠に消えない友情の証が刻まれていた。
そして、タイミングを見計らったかのように、スタジアムのアナウンスが轟いた。
「始まったみたいね。」
「みなさん、お待たせしました!これより海馬コーポレーション主催「新召喚方法デモンストレーションデュエル」を開始します!」
海馬の側近である磯野がいつもと変わらないテンションで淡々としかし熱くマイクを握り、進行をする。
おおおおおおおおお、と会場のボルテージは最大になる。
スタジアムの照明が全て落ち、闇が会場を包み込む。 静寂。
そして、闇を切り裂くように一本のスポットライトが中央のタワーを照らし出した。
「全世界の決闘者諸君! 刮目せよ!」
傲岸不遜にして絶対的自信に満ちた声が、最新鋭の音響システムを通じて響き渡る。
タワーの頂点、青白い光の粒子が渦を巻き、一人の男の姿を形成していく。純白のロングコートを翻し、海馬瀬人は王のように君臨した。
「今、デュエルモンスターズは新たなる次元(ディメンション)へと進化する! 過去の栄光など捨て去れ! 俺たちが目指すのは、果てしなく続く闘いのロードの先にある未来のみ!」
ワァァァァァァッ!! 観客のボルテージが一瞬で最高潮に達する。
海馬が左腕を掲げると、装着された新型デュエルディスクがクリスタルのような輝きを放ちながら展開した。
「現れろ! 過去を乗り越えし最強の決闘者……武藤遊戯!」
海馬の指し示す対角線上。 音もなくリフトがせり上がり、そこには静かに佇む遊戯の姿があった。派手な演出はない。
だが、ただそこに立っているだけで醸し出される風格が、会場の空気を引き締める
。「海馬君。君の創り出す新しい未来……ボクも確かめさせてもらうよ」
「ふん、口先だけの賛辞はいらん。貴様のデッキで証明してみせろ!」
「ああ。行くよ、海馬君!」
二人の視線が交錯し、火花が散る。 システム音声が電子の海に響き渡った。
「「デュエル!!」」
「ついに始まったね…」
御伽の言葉に城之内も固唾を呑み二人のデュエルを見守る。
ターン1 遊戯のターン
先行を取ったのは遊戯だった。 「ボクのターン!」
遊戯がデッキからカードを引き抜くと、その軌跡に金色の光が尾を引く。 手札を確認した瞬間、遊戯の瞳が鋭く細められた。
「ボクは早速、この新システムの力を使わせてもらうよ! ユーザーズアビリティ、発動!」
遊戯がディスクのタッチパネルを操作すると、彼の背後に巨大な魔法陣のホログラムが展開される。
「ボクのユーザーズアビリティは《王の僕(しもべ)》! この効果により、ボクは《ブラック・マジシャン》をリリースなしで召喚できる!」
「いきなり《ブラック・マジシャン》だと!?」
観客席の城之内が驚愕の声を上げる。通常のデュエル理論を無視した立ち上がりに、会場がどよめいた。
「来い! 最強の魔術師! 《ブラック・マジシャン》!」
遊戯がカードをフィールドに叩きつけるとフィールドに漆黒の魔法使いが現れる。アテムとの戦いの儀で失われたバイオレットの魔法使いではない。遊戯が戦いの儀の後に再び入手した個体だ。
遊戯:手札5枚→4枚
「すげぇ!《ブラック・マジシャン》がいきなり出やがった!」
いきなりの《ブラック・マジシャン》の登場に本田が驚愕する。
「更にボクはカードを1枚セットしてターンを終了する!」
遊戯:手札4枚→3枚
ターン2 海馬のターン
「ふん、俺のターン!ドロー!」
海馬:手札5枚→6枚
「流石だな遊戯…早速ユーザーズアビリティを使いこなすとは…だが!貴様に遅れる俺ではない!俺もユーザーズアビリティを発動!俺のユーザーズアビリティは「果てしなく続く闘いのロード」!これにより手札の《青眼の白龍》を相手に見せることでデッキから《正義の味方カイバーマン》を手札に加える事ができる!」
海馬:手札6枚→7枚
「!おい、《カイバーマン》が手札に加わったって事は…!」
「見せてやろう遊戯!出でよ!《正義の味方カイバーマン》!このモンスターをリリースする事で手札より!出でよ!《青眼の白龍》!」
海馬:手札7枚→5枚
「出た!兄様の《青眼》!」
「なんてデュエルなんだ…いきなりアビリティを使いこなしてお互いのエースを降臨させるなんて…」
「ユーザーズアビリティ…こりゃぁデュエルの歴史を大きく変えちまうかもな。」
「《青眼》の攻撃!滅びのバーストストリーム!」
「やらせないよ海馬君!ボクは罠カード《六芒星の呪縛》を発動!《六芒星の呪縛》の効果を受けたモンスターは攻撃できず、表示形式も変更できない!」
「上手い!これで《ブラック・マジシャン》は破壊されないぜ!」
「ふぅん…この程度は凌いで貰わなければデモンストレーションの意味がないからな。俺はカードを2枚伏せ、ターン終了。」
海馬:手札5枚→3枚
ターン3 遊戯のターン
「ボクのターン!」
遊戯:手札3枚→4枚
「!ボクは魔法カード《秘術の書物》を発動する!」
「《秘術の書物》?アレって初めて見るカードよね。」
「あぁ。多分海馬の言う新しい召喚方法のデモンストレーションに合わせて作られたカードなんじゃないか?」杏子の疑問に城之内が答える。
「これによりボクはデッキから《ホーリー・エルフ》と《秘術の書》を手札に加える!」
遊戯:手札4枚→5枚
「2枚のカードを手札に!だが、加えたのは弱小モンスターと弱小装備魔法…これじゃ《青眼》に対抗できないぞ…」
「いや、これでいいんだ。」
「え?」
「ボクは《ホーリー・エルフ》を召喚!」
遊戯:手札5枚→4枚
「ふぅん…仕掛けてくるか。」
「更にボクは魔法カード《秘術の書》を《ホーリー・エルフ》に装備!これにより《ホーリー・エルフ》の攻撃力は300ポイントアップ!」
遊戯:手札4枚→3枚
「けどね、それだけじゃないよ、ボクはこの《ホーリー・エルフ》と《秘術の書》を使い…新しい仲間をここに呼び出す!」
「新しい仲間だって!?」
「ふぅん…」
城之内が身を乗り出す。海馬は無言のまま、コートの裾をなびかせて遊戯を見据えた。
「ボクは魔法使い族/通常モンスターである《ホーリー・エルフ》に装備魔法カード《秘術の書》で…エンゲージ!」
「エンゲージ!?」
刹那、遊戯の頭上に魔方陣が現れ、《ホーリー・エルフ》を包み込む。
すると《ホーリー・エルフ》が装備している《秘術の書》がより一際輝き、《ホーリー・エルフ》と《秘術の書》の二つが「共振」し、新たなる姿に変化する。
「六芒星を司る魔術師よ、呪術の力で我が敵を縛れ!レゾナンス召喚!現れろ、《六芒星の魔術師》!」
光が弾けると、そこには《ホーリー・エルフ》の姿はなく、青白い法衣を纏った精悍な魔術師が立っていた。周囲に浮かぶ六つの光球が、幾何学的な紋様を描いている。
「なんだ!?装備カードと共振して全く別のカードになっちまったぞ!」
「アレが新しい召喚方法か!」
「流石だな遊戯。早速レゾナンス召喚を使いこなすとはな。」
驚愕するギャラリーの中、海馬だけが不敵な笑みを深めた。
「《六芒星の魔術師》の効果!このカードがフィールドに存在する限り、《六芒星の呪縛》の効果を受けたモンスターは攻撃力が700ポイントダウンし、効果が無効になる!」
「上手い!これなら《ブラック・マジシャン》で《青眼》を破壊できる!」
「ふぅん…」
「行くよ!ボクは《ブラック・マジシャン》で《青眼》を攻撃!ブラック…!」
「甘いぞ遊戯!罠カード発動!《攻撃の無力化》!」
「!」
「攻撃を無効にし、バトルフェイズを終了する。」
「海馬君も負けてない!遊戯君の渾身の攻撃をいとも簡単に受け流しちまった!」
「…《六芒星の魔術師》には《六芒星の呪縛》をデッキ・墓地から手札に加える効果があるけど、ボクのデッキには《六芒星の呪縛》は1枚しか存在しない…カードを2枚伏せてターン終了。」
遊戯:手札3枚→1枚
「惜しいぜ!この攻撃が通っていたら《青眼》を倒せたのによ!」
「けど《六芒星の魔術師》と《六芒星の呪縛》があるから、《青眼》の攻撃力は下がったまま。《ブラック・マジシャン》が倒される事はないはずだ。」
「…いや、海馬の事だ。きっと簡単にこの状況はなんとかしちまうはず…」
御伽の楽観的な意見とは逆に駆け出しとは言えプロになった城之内は反論する。
ターン4 海馬のターン
「俺のターン、ドロー!」
海馬:3枚→4枚
「ふぅん…ひとまず褒めてやるぞ遊戯。早速レゾナンス召喚を使いこなし、あわよくば《青眼》を葬ろうとするとはな。だが!このデモンストレーションデュエルでそれを使えるのはお前だけではない!俺はまずユーザーズアビリティを発動!」
「また!」
「ユーザーズアビリティは【初導】、【双導】、【煌導】の3種類が存在し、デュエル中に各効果を一度ずつ順序に発動が可能!俺は【双導】の効果を発動する!」
「てことはデュエル開始前から3ターン分の効果を確約できるのか…!」
「けどそれって強過ぎない…?3ターン分の効果を予め使えるようになるなんて…ゲームの高速化が進んじゃわない?」
「いや、海馬君の事だ。その点はしっかりと考えて効果は考えているはず。」
「ふぅん…確かにユーザーズアビリティはデュエル開始前から3つの効果を使う事が約束されている。だがそれほどの効果である以上、獲得できるアドバンテージは限定的な物となっている。」
「まあ、そうだよなぁ。最初から強過ぎるアビリティが使えたらデュエルにならねぇし。」
「お前にしちゃ結構良いこと言うじゃねぇか。」
「海馬君の二つ目のアビリティって一体…」
「俺のアビリティ《闘いの果てに続くロード》の【双導】、それは手札を1枚デッキに戻す事でデッキから《滅びの炸裂疾風弾》を手札に加える!」
海馬:手札4枚→4枚
「《滅びの炸裂疾風弾》か…確かに強力だけど《青眼》がいないと使えないし、使ったターンには《青眼》も攻撃できないしな…手札を一枚戻す事を考えりゃ妥当っちゃ妥当か…」
「どうやら海馬君と遊戯君の使っているカードを見る限り、レゾナンス召喚に紐付けされているカード達は古いカードや他のカードの登場で使い道が限られてしまったカードをより有効に活用させる方向のカードが多いみたいだね。」
「面白いじゃねぇか!古いカードでもちゃんと使えるようにして貰えればカード達も喜ぶもんじゃねぇか!」
「うん!凄く良いと思う!」
「…だがこの状況で《滅ぶの炸裂疾風弾》が海馬の手札に加わったのはまずいぜ…」
「俺は手札より《滅びの炸裂疾風弾》を発動!《青眼》の存在により貴様のフィールドのモンスターは全て破壊される!」
海馬:手札4枚→3枚
「ただでは破壊させないよ!罠カード発動!《マジシャンズ・アサルト・マジック》!このカードは場に《ブラック・マジシャン》がいる時、相手のカード1枚を破壊できる!」
「ふん!やらせるか!罠カード《身代わりの闇》!デッキから《闇道化師のサギー》を墓地へ送る事で《青眼》の破壊を回避する!」
「くっ…!」
「喰らえ!《滅びの炸裂疾風弾》!」
「あぁ!《ブラック・マジシャン》が!」
杏子の悲痛な叫びが会場に木霊する。
「だけどこれでこのターン、《青眼》は攻撃できない!これなら遊戯にもまだチャンスはあるぜ!」
「ふっ、更に俺は《ブラッド・ヴォルス》を召喚!」
海馬:手札3枚→2枚
「おいおい!城之内!確かに《青眼》は攻撃できねぇけどよぉ…これじゃ遊戯は直接攻撃を受けちまうんじゃないか!?」
「慌てるな!確かに《ブラッド・ヴォルス》の攻撃力は強いがそれでも1900。遊戯のLPは全然削られないぜ。」
「ふぅん…ならば俺も新しい力を試させて貰うとしよう…」
「てことは…」
「来るみたいだね!海馬君のレゾナンス召喚が!」
「俺は《ブラッド・ヴォルス》に《殺戮の血斧》を装備!このカードは装備モンスターに【貫通】を与える!そして、俺はこの2枚を素材に…」
海馬:手札2枚→1枚
「そうはさせないよ!海馬君!速攻魔法発動!《魔法効果の矢》!」
「何?」
「このカードは相手フィールドの表側表示の魔法カードを全て破壊し、その数×500ポイントのダメージを相手に与える!海馬君、君にレゾナンス召喚はさせない!」
「くっ…!」
海馬:LP8000→7500
「だが遊戯…貴様はこのデュエルにおいて初めてのミスを犯したな。」
「!?」
「俺は《殺戮の血斧》のもう一つの効果を発動!墓地のこのカードはデュエル中に一度闇属性/通常モンスター/レベル4モンスターが存在する場合、そのモンスターに装備できる!」
「!これじゃ遊戯の《魔法効果の矢》は無駄撃ちだったって事じゃないか!」
「いくぞ!遊戯、俺は《ブラッド・ヴォルス》に《殺戮の斧》でエンゲージ!殺戮の魔人よ、その斧で我が敵を切り裂け!レゾナンス召喚、出でよスコア3《殺戮の魔人ブラッド・ヴォルス》!」
「アレは《ブラッド・ヴォルス》がレゾナンスモンスターとなった姿か!」
「バトルだ!ゆけ、《殺戮の魔人》よ遊戯に直接攻撃!」
「くっ…!」
遊戯:LP8000→5600
「くそ!折角遊戯が海馬にダメージを与えたのに遊戯の方が大ダメージを受けちまった…!」
「更に《殺戮の魔人》の効果を発動、このカードは戦闘を行ったダメージステップ終了時に攻撃力が500ポイントアップする。俺はこれでターン終了だ。」
ターン5 遊戯のターン
「くっ…!ボクのターン!」
遊戯:1枚→2枚
「海馬の手札は0になったけど遊戯の場にも《六芒星の呪縛》以外のカードは存在しない…これは何とかしないとまずいぜ…」
「!ボクは魔法カード《死者蘇生》を発動!」
「ここで《死者蘇生》か…」
「これによりボクは《ブラック・マジシャン》を特殊召喚する!」
「けど《ブラック・マジシャン》の攻撃力じゃ《青眼》も《殺戮の魔人》も倒せない…」
「ボクはここでボクのアビリティの【双導】を発動!」
「そっか!遊戯にも【双導】があったじゃない!」
「これによりボクは《ブラック・マジシャン》が存在する事でデッキ・墓地から来い、《ブラック・マジシャン・ガール》!」
「あれ…でも、これじゃどちらにしても2体の攻撃力には叶わないんじゃ…」
「更にボクは速攻魔法カード《ブラック・リベリオン・バースト》を発動!このカードは場に《ブラック・マジシャン》か《ブラック・マジシャン・ガール》が存在する場合、相手の場のボクの場の攻撃力を上回っているモンスターの数だけ魔法使い族モンスターの攻撃力を1000ポイントアップし、その効果を受けたモンスターが《ブラック・マジシャン》達なら更に1000ポイントアップさせる!」
「何!?」
「いけ!《ブラック・マジシャン・ガール》!《殺戮の魔人》の怒れる魂を沈めるんだ!ブラック・バーニング!」
「くっ…!」
海馬:LP7500→6400
「更に《ブラック・マジシャン》で《青眼》を攻撃!ブラック・マジック!」
「ぐぅぅ…!おのれぇ…!」
海馬:LP6400→4900
「ボクはこれでターンエンドだ!」
ターン6 海馬のターン
「俺のターン…ドロー!」
海馬:手札1枚→2枚
「流石と褒めてやろう遊戯。だがこれ以上、貴様の好きにさせるつもりはない!俺は魔法カード《ソリッド・オブ・ブルーアイズ》を発動する!これにより手札・墓地の《青眼》を特殊召喚できる!よって墓地の《青眼》を復活させる!」
海馬:手札2枚→1枚
「そんな!折角遊戯が苦労して倒した《青眼》がもう復活しちゃうなんて!」
「だがこれだけではない!俺は《ソリッド・オブ・ブルーアイズ》に《青眼》をエンゲージ!」
「!?まさか!?」
「青き眼の龍よ、今、共鳴の力で新たなる領域に到達するがいい!!レゾナンス召喚!降臨せよ、スコア7《青眼の共振龍》!」
「《青眼》のレゾナンスモンスターだって!?」
「《共振龍》の効果発動!このカードのレゾナンス召喚に成功した場合、デッキから《青眼》のカード名が記されているカード1枚を手札に加える!俺は2枚目の《ソリッド・オブ・ブルーアイズ》を手札に加える!そして、手札に加えた《ソリッド・オブ・ブルーアイズ》を使い手札の《青眼》を特殊召喚する!」
海馬:手札2枚→0枚
「や、やべぇ…!!
「だが遊戯の場には2体の《ブラック・マジシャン》コンビがいる!ダメージは最小限だぜ!」
「ふぅん…《共振龍》は場に通常モンスターの《青眼》が存在する場合、その数だけ追加で攻撃できる!」
「そんなそれじゃ…!」
「ゆけ!《共振龍》2体の魔術師を攻撃!」
遊戯:LP5600→4100
「更に《青眼の白龍》で遊戯に直接攻撃!滅びのバーストストリーム!」
「…っ…!うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」
遊戯:LP4100→1100
「遊戯ィ!!」
「俺はこれでターン終了だ。」
ターン7 遊戯のターン
「ボクの…ターン!ドロー!」
遊戯:手札0枚→1枚
「遊戯の手札はたったの1枚…海馬の場には2体の《青眼》…このままじゃまずいぜ!」
「魔法カード《強欲な壺》を発動!これによりボクは2枚のカードを引く!」
遊戯:手札1枚→2枚
「…っ!ボクは墓地の光属性《ホーリー・エルフ》と闇属性《六芒星の魔術師》を除外し、特殊召喚!来い、《尊厳たる黒魔導師》!」
遊戯:手札2枚→1枚
「すげぇっ!!いきなり攻撃力3200のモンスターを召喚しやがった!」
「ボクは《尊厳たる黒魔導師》の効果を発動!このカードは一ターンに一度、フィールドのカードを除外できる!ボクは《青眼の白龍》を除外する!」
「よし!次に攻撃すれば《共振龍》も倒せるぜ!」
「バトルだ!《尊厳たる黒魔導師》、《共振龍》を攻撃!セレスティアル・ダーク・イリュージョン!」
「くっ…!」
海馬:LP4900→4700
「ボクはカードを1枚セットし、ターン終了だ!」
遊戯:1枚→0枚
ターン8 海馬のターン
「俺のターン、ドロー!」
海馬:手札0枚→1枚
「…」
海馬が引いたのは《青眼の白龍》。
フィールドに生贄となるモンスターはなく、墓地で発動する効果もない。
この状況で引いても持て余すカードであった。
「海馬の奴、固まっているぜ!」
「もしかして出せるカードを引けなかったんじゃねぇか!」
「それじゃ!」
「あぁ、これで遊戯の勝ちだ!」
「…ふぅん、確かにこの状況今までなら俺の敗北は必至だっただろう…だが!ユーザーズアビリティはその常識を覆す!アビリティ発動!」
「しまった!海馬にはまだアビリティが残っていた!!」
「このアビリティの効果は《青眼の白龍》のみを素材に融合モンスターを融合召喚する!俺は墓地に存在する《青眼の白龍》扱いの《青眼の共振龍》、そして、手札と墓地からそれぞれ《青眼の白龍》をデッキに戻し、融合召喚!出でよ、《青眼の究鳴竜》!」
海馬:手札1枚→0枚
「マジかよ…!ここに来て攻撃力4500かよ!!」
「更に《究鳴竜》は素材としたレゾナンスモンスターの数だけ攻撃回数を最大2回まで増やす!素材とした《共振龍》の数は一体!よって《究鳴竜》は2回の攻撃が可能!行け、《究鳴竜》!アルティメット・レゾナンス・バースト!!」
「やばい!!」
「遊戯!」
「…くっ…!罠発動!《リダクション・バリア》!このカードの効果によってこのターン、ボクが受ける全てのダメージは10分の1となる!」
「ぐっ…!うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」
遊戯:LP1100→970
「な、何とか耐えきったぞ!」
「けどこれで遊戯の場はがら空き…」
「《究鳴竜》よ、遊戯に直接攻撃!アルティメット・レゾナンス・バースト!」
「ぐっ…!!くぅぅぅぅ…!!《リダクション・バリア》の効果でダメージは10分の1になる…!!」
遊戯:LP970→420
「は、はぁ…!はぁ…!」
「た、耐えた…」
「流石だぜ!遊戯!」
「だけどこれで遊戯君の場にはカードもなく手札も0…絶体絶命の状況には変わりないよ!」
「てめぇ!!御伽ィ!!先からそればっかでおめぇには遊戯を応援するって気がないのかよ!」
「い、いやだって!本当の事を言っているだけじゃないか!」
「だけど御伽君の言う事も一理あるわ…幾ら遊戯でもこの状況を覆すのは難しいと思うわ…」
「…いや、俺は遊戯を信じるぜ!」
「俺はこれでターンエンドだ。さあ、遊戯!王の器としての意地を見せてみろ!」
「…」
ターン9 遊戯のターン
「ボクの…ターン!ドロー!」
遊戯:手札0枚→1枚
「…!海馬君、君は先のターン、君の魂のカード《青眼》を引く事でユーザーズアビリティを最大限に使って君のデッキの中の最強モンスター《青眼の究鳴竜》を呼び出した…だったらボクもまた君と同様、ボクの魂のカードによってボクのアビリティを最大限に発揮させる!」
「!けどよ、遊戯の魂のカードと言えば…」
「ボクはまず《王の僕》の【煌導】の効果を発動!」
「そっか!遊戯にもまだアビリティが残っていた!」
「これによりデッキ・墓地の《ブラック・マジシャン》のカード名が記されている魔法・罠カード1枚を手札に加える事ができる!ボクはデッキから《秘術のカーテン》を手札に加え、これを発動する!これによりボクは墓地の《ブラック・マジシャン》を特殊召喚し、このカードを装備する!」
「!《ブラック・マジシャン》に装備カードが装備された!」
「って事は!」
「行くよ、海馬君!ボクは新しい力によって更なる仲間を呼ぶ!ボクは《ブラック・マジシャン》に《秘術のカーテン》をエンゲージ!黒き魔術師よ、秘めたる力をここに解放し、新たなる領域に到達せよ!レゾナンス召喚、現れろ!スコア6、《黒魔導の共振者》!」
そこに現れたのは、通常の魔術師とは異なり、鎧を纏い長大な槍を携えた、「魔導騎士」とも呼ぶべき力強い姿だった。
「すげぇ!!遊戯の《ブラック・マジシャン》にもレゾナンスモンスターが!」
「だけど攻撃力は《青眼の究鳴竜》の攻撃力には敵わない…」
「ボクは《黒魔導の共振者》の効果を発動!このカードのレゾナンス召喚に成功した場合、デッキから《ブラック・マジシャン》のカード名が記されている魔法・罠カード1枚を手札に加える!ボクは2枚目の《秘術のカーテン》を手札に加える!」
「アレは先、《ブラック・マジシャン》を呼びだしたカード…」
「だけど遊戯君のデッキには《ブラック・マジシャン》は1枚しかないはず…」
「…確かに以前のボクのデッキには《ブラック・マジシャン》は1枚しか入ってなかった…」
「!以前!?」
「…だけどモクバ君から渡されたこのカードがある!ボクは2枚目の《秘術のカーテン》を発動!これにより…2枚目の!!」
「!!」
遊戯がドローしたカードをデュエルディスクに叩きつける。
「《ブラック・マジシャン》を特殊召喚!!」
フィールドに走る漆黒の閃光。
だが、その光の中から現れた魔術師は、先ほどまでの漆黒の《ブラック・マジシャン》とは、纏う空気が決定的に異なっていた。 使い込まれ、傷つきながらも、王の隣に立ち続けた歴戦のバイオレットカラーの魔術師。
「アレって!!」
「あぁ…以前遊戯が…いや、アテムが使っていた《ブラック・マジシャン》!」
海馬の表情が凍りついた。見間違うはずがない。それは、かつて彼が執着し、追い求めた好敵手(ライバル)が愛用していた姿そのものだったからだ。
「そっか、この間モクバ君に渡されたカードってこれだったのね!」
VIP席でデュエルを見届けているモクバが杏子にウィンクを投げる。
葬祭殿の崩壊に巻き込まれ、ボロボロにはなってしまってはいたが遊戯や杏子達にとってこのカードはアテムとの絆の確かな証拠だ。
杏子はモクバに言葉では言い表せない感謝の気持ちを感じ、城之内もまた「あの野郎…粋な真似やがって…」と鼻をすすり、モクバを見つめる。
モクバは遊戯の仲間達に一礼だけすると再びデュエルを見届けるが、その表情にはどこか寂しげな色があった。
「だけど、これでも《究鳴竜》には勝てない…」
(…いや、遊戯の勝ちさ…)
モクバは成長し、会社のために清濁併せ飲む人物となったが、それでもやはり兄である瀬人の敗北だけは見たくなかった。そのためデモンストレーション用に創られたカードテキストを予め把握しておきながらそれを城之内達には内密にし、せめて物の抵抗で心の中で「バーカ」と呟く。
「ボクは《黒魔導の共振者》の効果を発動!このカードはボクの場に《ブラック・マジシャン》が召喚・特殊召喚された場合、相手フィールドのカード1枚を破壊できる!」
「!それじゃ!!」
「ボクは《究共竜》を破壊する!!レゾナンス・マジック!!」
「ぐっ…!!」
「これで海馬の場はがら空きィ!!」
「しかも、海馬君の手札は0!墓地で発動できるカードもない!」
「アビリティも全部使い切っているわ!」
「今度こそ遊戯の勝ちだな!」
「…ふぅん…見事だな…遊戯…流石王の器と言ったところか…」
「…海馬君。ボクはもう王の器ではないよ。」
「…ふっ、そうだったな。既に貴様も一人の決闘者…」
「…行け!2体の《ブラック・マジシャン》ズ!ダブル・レゾナンス・マジック!」
「…ふっ、楽しませて貰ったぞ…遊戯…」
海馬:LP4700→-300